症例はチワワ, 5歳齢, 去勢雄, 3.8kg、咽頭気道閉塞症候群Ⅱおよび原発性気管虚脱ステージ3と診断され、体重管理やネブライザー療法などで経過観察していたものの管理困難となったことから気管内ステント留置が選択されました。
気管支鏡、X線透視および手元操作の様子を同時にご確認いただけます。気管虚脱症例における治療選択肢として、その症例選択や実際の手技のポイントに至るまで詳細に解説します。
《診断・経緯》
1.5歳から夏季散歩中にストライダーや発咳あり、気管支拡張剤とプレドニゾロン投与で症状緩和していた。
その後も毎年6-8月に同症状あり同様の処置を続けていたが、今年は体重2.8kgから3.9kgに増量し室内でも発咳が増加(連日、1日10-20イベント、1イベント<15秒、興奮時・睡眠時・入眠時)。
1週間ほど前より冷たい床の上で横臥睡眠時に吸気時開口、異常呼吸音となり、ほぼ連日ドライフードとささみ片を一気に食べて吐出するようになった。
診察時のBCS8/9、パンティング続き持続性低調スターターを認める。
白血球数の増加、血糖値増加、動脈血液ガス分析にて過換気あるもAaDO2開大はなし。
X線および透視検査にて喉頭降下、咽頭背壁余剰、軟口蓋肥厚、舌根後退、軟口蓋の一体化、常に咽頭閉塞あり。肺野すりガラス様陰影、胸膜腔内容積制限効果、胸郭前口部気管における呼吸相にかかわらない扁平化を認めた。
以上所見より「咽頭気道閉塞症候群Ⅱ、原発性気管虚脱ステージ3」と診断。
中程度の原発性気管虚脱が基礎にあり、咽頭気道閉塞症候群と体重過多が悪化因子となって気管扁平化を進行させていると考えられた。
治療として以下を指導。
①2-3カ月かけて体重減少(-20%、3.12kg)
②ネブライザー療法(生食20ml+GM0.5ml+ボスミン0.5ml+ビソルボン0.5ml/回を1日2回、1回10分)
③プレドニゾロン内服中止
④体重管理中は冷たい床の上で寝かせる、風を当てる、冷房管理として経過観察
第71病日、体重ほぼ変化なし、発咳なし。
透視検査にて扁平化はむしろ進行し、透視中に閉塞部分の前後運動あり両相性ストライダーを発症した。呼気時胸部気管虚脱は依然として認めず。
《講師所属病院での気管内ステント留置実施基準》
①臨床兆候は咳ではなく、興奮時両相性ストライダー
②上気道閉塞疾患、気管気管支軟化症、および心拡大を除外
これら基準を満たした自験10例(2007-2015)では最長観察期間82カ月、初期改善率100%、周術期死亡率0%、60日生存率100%、平均生存期間46カ月(3-82カ月)であり、フォローアップ中の合併症はほぼなくSura2008およびDurant2012の評価法によればExcellent20%またはGood60%であり、術後QOLは良好に保たれた。
本症例では基準②以外は一致した。
基準②についても体重過多による咽頭気道閉塞症候群であり、ステント留置後に目標体重への減量が約束されれば基準を満たすため、体重管理を前提に気管内ステント留置を実施することとなった。
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